フューエルコックが原因でエンジンの始動性が悪い?

実は最近、エンジンの始動性が悪くて悩んでおりました。
まぁ、400カタナに乗っている人には良くある症状かも知れませんが。
このバイクを手に入れてから、色々なキャブのトラブルもありましたが、
あまりエンジンの始動で苦労する事はありませんでした。

キャブのオーバーホールも何回か行い、現状では始動時以外に問題は見当たりません。
掛かってしまえばすこぶる調子は良い状態です。
一週間以上乗らなければ、エンジンの掛かりが悪くなるのは理解できます。
ところが、半日程度放置した状態と、一週間乗らなかった場合とで、
エンジン始動性の悪さは変わらないのです。
セルを長めに5回程度回さないと掛かりません。
色々試してみましたが、チョークは関係ない様です。
季節がら掛かり易い筈なのですが、皆目見当が付きません。

400カタナの持病であるイグナイターも、
現状、FET化の改造を施してあり、コンデンサーも全て交換してありますので、
原因からは除外です。

ところが、ある日ふと思いたってエンジン始動時にフューエルコックを
ONの状態からPRIにして始動した所、一発で始動する事を突き止めました。

ここでピンと来たのは負圧式のコックですので、
負圧がしっかりと掛かっていない為にガソリンの供給が悪く、
エンジンの掛かりが悪いのではないかと思いました。
なので、PRIにしてガソリンを強制的にキャブへ送る事で掛かり易くなると。

試しにマニホールドから出てフューエルコックに繋がっている負圧ホースを
コックから抜き、フタをする様に指で押さえた状態でセルを回すと、
しっかり負圧を確認できました。

となると怪しいのはフューエルコックです。
以前、オークションで手に入れたフューエルコックが何個が予備であったので、
交換する事にしました。
今のコックは一度、燃料が漏れた事もあり交換する方が良い様です。

新しいフューエルコック
(新しいフューエルコック。
と言っても純正ですが、オークションで入手した中古です。)

交換作業ですが、
当然、タンク内のガソリンを全部抜きます。
私は、20Lのガソリン携行缶を持っているので、
これに移して作業します。

コックを取り換えて、
新しいコックのボルトを締めている最中に問題が。
片方のコックの取付ボルトが空回りして完全に閉まらなくなりました。
かなりショックな状態です。
コックの下にマイナスドライバーを入れ、押上ながら緩めようとしても、
まったく緩みません。
同じ位置で空回りするだけです。
可能性としては、タンク内のコック取付ナットが脱落して供回りしているか、
コック取付ナットのネジ山が壊れたかどちらかです。
色々悪戦苦闘したのですが、どうにもなりません。

一旦、プロの手に委ねようと思い、タンクを車に積んで
近所のバイク店で相談。
二軒回りましたが、
どちらの店も多分ボルトが脱落して供回りしている様なので、
ボルトの頭を飛ばせば取り外す事できるが、
もう一度取付けるにはタンクを切開して溶接し直しとの見解。
ウチじゃ出来ないと、けんもほろろ。

普段からバイク屋と付き合いが無いとこういう時困ります。
何せ、手に入れてから殆ど自分でメンテしてしまっているし、
それ以外はナップスだしね。
仕方ありません。

今までも色々壁にぶち当たりましたが、自分で乗り越えて来たんです。
今回も何とかしなければ。

取れない状態のコック
(片方ボルトが抜けなくなったフューエルコック。)

取りあえず、自宅に戻り、ガソリンタンク内を何回か水で洗い、
ガソリンの残りを除去し、安全を確保します。
内部はコーティング済なんで、安心して水洗い。
乾くのを待ちながら作戦を立てます。

まずは、ボルトの頭を飛ばさないと始まらないです。
この段階では、タンク内のナットが脱落したものと思っているので、
タンクの溶接を請け負っている所を探そうと思っていましたが、
数日後に作業再開。

ガソリン臭も減り、作業しても大丈夫そうです。
ボルトを飛ばす際にグラインダーで火花が出るので要注意です。
タンクに傷付けない様、細心の注意を払い作業します。
何とかボルトの頭が取れました。
コックを外してみましたが、ボルトが脱落する様子はありません。
どうやら、ナットの溶接は活きている様です。
そうなると、ナットのねじ切がダメになっているので、
これも一苦労です。

ボルトの頭を飛ばしました
(グラインダーでボルトの頭を飛ばしました。
凹みとドライバーによる傷が確認できます。)

この後、残ったボルトの軸にドリルで穴を開けて除去します。
細い穴から開けて徐々に穴を広げて行きます。
なんとか、ボルトの除去に成功しました。
取付けナットはしっかりと裏側に溶接されています。

さて、ここからが本題の作業です。
穴が気持ち広がってしまいましたが、
ナットはしっかりと付いているので、取りあえずナットにタップを立てて、
様子を見る事に。
M6のタップを使います。
穴が広がっているのが気になりますが、
タップを立て、ボルトを試しに入れてみましたが、何とかなりそうです。

ボルトを取ろうと必死になっていた為、
マイナスドライバーによる傷や、若干タンクに凹みが生じてしまいました。
この部分はフューエルコックのガスケットによりシールされる場所なので、
きれいに水平になっていないと、ガソリン漏れが発生します。
凹みの部分はパテを使って修正し、部分的に少し叩いて修正しました。
その後に塗装し、燃料に触れる部分なので、
ウレタンクリアで仕上げます。
たったこれだけの箇所ですが、ウレタン塗装するしかありません。
ウレタン塗装は2液を混ぜ合わせるので、缶スプレーは保存がききません。
勿体ないですが、仕方ないです。近くのホームセンターで¥2500程でした。
結局、塗装の乾燥も含め、ここまで3日近く掛かってます。

最後は金定規を当ててコックの取付場所が水平になっているか確認します。
なんとか、大丈夫そうです。
ガスケットは余っている純正コックから拝借してます。
コックのボルトの取付にはアルミのワッシャーが必須です。
所謂シールワッシャーですね。
ここのボルトはM6ですが、M6のアルミワッシャーは意外と手に入りません。
ネットで探して購入しておきました。

コックをしっかりと取付ました。
新たにタップを立てた方のボルトも問題なく十分なトルクが掛けられています。
ガソリンを入れしばらく様子を見ましたが、漏れはなさそうです。
タンクをバイクに取付けて完成です。

ここまで苦労しましたが、なんとか大問題に発展せずに済みました。
ボルトやネジに関してはトルクの掛け過ぎは禁物ですね。

さて、問題のエンジンの始動ですが、
あさっり掛かりました。
やはりコックの負圧に問題があった様です。
ただ、完全に原因が消えたかどうかは、
もうしばらく様子を見る必要はあるかと思います。
取り外したコックを調べた所、裏側と止めている4本のネジに緩みを発見。
一度バラしてみましたが、ゴム関連のパッキンは無事でした。
となると、ネジの緩みにより負圧が下がり、始動性が悪くなったと思われます。

しっかりとシールされた状態のコックはONの状態からPRIに回すと、
「ペコッ」と言う音が出ます。(コックを取り外した状態です。)
裏面のネジが緩みシールが不完全な状態だと、音が出ません。
これは内部のゴムパッキンが弁の開閉時の圧により、音を出すのだと思われます。

今回、ここに行き着くまで、すごく時間が掛かりました。
負圧に問題があると気付いてからは素早く対処できたと思いますが、
今回は作業上のトラブルで、手間と時間とお金が掛かりました。

しかし、トラブルシューティングや色々な作業も含め、趣味のウチですね。
最近はトラブル時の原因究明がとても楽しいと思っています。

コメント

  1. zip より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    参考になりました、ありがとうございました。一度確認してみます。

  2. miz4 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    自分の経験がお役に立てれば何よりです。
    エンジン始動性の悪さでは、定評のあるバイクですので、(笑
    ちょっとした事でも、気付いた点があれば、
    アップして行きたいと思います。

  3. zip より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    更新楽しみにしています。よろしくお願いします。m(_ _)m

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